
科学技術振興調整費「ミャンマーのインフルエンザ研究拠点形成」プロジェクトの一環として第2回日緬医学生物学ワークショップ ―アジアのインフルエンザとその他のウィルス感染症― が開催されました。第1回日緬ワークショップは2005年12月19日に新潟大学とミャンマー保健省の協力協定締結を記念してヤンゴンで開催されました。この時は新潟大学の他、長崎大学、熊本大学からも参加がありました。ミャンマーで始まったばかりのインフルエンザの調査成績と、私たちが指導による病理技術を活用した研究成果が発表されました。
今回のワークショップ出席のため、ミャンマー側代表である国立保健研究所ウイルス部長キン先生、臨床サイドからネピドー総合病院内科のサンダ医師、および2ヶ月間新潟大学で研修する2名の研究者が10月14日(火)に来日しました。
10月15日(水)午前、キン先生とサンダ先生は学長を表敬訪問され、ミャンマーへの支援協力と新潟大学からのサイクロン被災見舞に対して謝意を表し、宝石細工の絵を贈りました(図1)。学長からは交流・協力の促進を歓迎するとの言葉がありました。
10月16日(木)午後、医学部有壬会館でワークショップが開催されました(図2、3、4)。内山学部長の歓迎の辞があり、「ミャンマーのインフルエンザ」のセッションが始まりました。まず、キン先生から、ミャンマーの感染症の現状が報告されました。重大な感染症として、エイズ、マラリア、結核、下痢症、インフルエンザ、デング熱、肝炎、ジフテリア、狂犬病などがあり、その他、蛇毒も脅威であることが紹介されました。ミャンマーでは結核、マラリアなどに対する対策が講じられており、結核についてはDOTS方式による治療が効を奏しているとのことです。サイクロン被災地では麻疹、ウイルス性肝炎、レプトスピラ症が多発しているという報告もありました。
次いで、2008年2月26日にインフルエンザセンターが保健研究所内に開設されたことが報告され、新潟大学の支援に対する御礼を述べられました。すでにインフルエンザセンターは2007年末にシャン州で発生したミャンマー初の人感染鳥インフルエンザウイルスを同定することに成功し、重要な任務を果たせることが証明されています。
サンダ医師からはヤンゴンでのインフルエンザ調査結果が発表されました。ヤデナ医師が中心となって通年にわたる調査が5年以上継続された結果、ミャンマーではインフルエンザが雨季(6-9月)に流行することが明らかにされました。公衆衛生のダパット先生からは分離されたインフルエンザウイルスの遺伝子解析結果が発表されました。
第二部では新潟のインフルエンザや他のウイルス感染症の調査研究結果が発表されました。藤井教授からは日本に多い「成人T細胞白血病/リンパ腫」ウイルスの増殖機構の研究が報告されました。この疾患はミャンマーではまだ報告がないのですが、調べられていないだけで、見つかる可能性もあります。斉藤先生からはアマンタジン耐性インフルエンザウイルスの流行状況について発表がありました。鈴木教授は迫り来る新型インフルエンザに対する日本の対応について述べられました。西川先生は新潟県の検査体制と緊急時の対応について発表されました。その他、新潟のRSウイルス、レバノンにおけるインフルエンザの調査結果も興味深いものでした。
ワークショップには40名の参加があり、活発な討議が行われました(図5)。最新の内容が発表され、本プロジェクトの中間報告として意義深い会でした。懇親会も盛況で、ミャンマーの支援に関わる新潟のNPO、名古屋の医療関係者の参加もあり、交流を深めることができました(図6)。ご協力いただきました皆様に御礼申し上げます。次回は来年、ヤンゴンで第3回ワークショップを開催する予定です。
(2008.10.20 内藤 眞)
Written in Oct. 3, 2008 Revised in Oct. 21, 2008